ハノーファーコンサート

ドイツ ハノーファー

Sidoとゼンハイザーが参加する『Autokultur』

『ハノーファーから、ハノーファーのために』をスローガンに掲げるユニークなイベント『Autokultur』が、北ドイツのエンターテインメントシーンを盛り上げています。ハノーファーのシュッツェン広場には毎晩1,000台近い車が集い、ドライブインシネマのようにUHF帯のラジオに耳を傾けながら、エキサイティングなステージパフォーマンスを楽しんでいます。通常のライブイベントがすべて中止になる中、このイベントはロックダウン中の気晴らしを求める市民にとって、まさに希望の光のような存在でした。

「デジタル伝送と他の機能を組み合わせることで、より開放的なサウンドイメージを実現。それを、高品質のシグナルチェーンを通じてすぐに聴けるようになります」

- モニターエンジニア、トーマス・ホーファー(Thomas Hofer)氏 -

初夏に様々なコンサートが行われた『Autokultur』の中でも、ハイライトはドイツ人ラッパーのSido氏が行った2日間の公演でした。2020年5月11日と12日のライブはいずれもチケットが完売。Sennheiser SKM 6000を使ったパフォーマンスは観客を魅了しました。巨大なLEDウォールに映し出されるSido氏がアップになるたびに、鮮やかな赤のハンドヘルドトランスミッターが艶やかな光沢を放ち、注目の的となりました。

完璧なパフォーマンスと最高品質のサウンド

ゼンハイザーのハンドヘルドトランスミッター、Digital 6000シリーズは、A1~A4(470~558 MHz)の周波数帯で動作し、ダイナミック型カーディオイドマイクロフォンMD9235のカプセルを採用しています。また、同型の黒のハンドヘルドトランスミッターもスペアとして用意されました。受信機はSennheiser EM 6000で、ステージ横の監視コンソールに置かれたL 6000充電器と共にラックバッグに収納されました。黒と赤のモデルを取り違えることがないように、モニターエンジニアのトーマス・ホーファー(Thomas Hofer)氏によって、高コントラストの有機ELディスプレイには2つの受信チャネルが分かりやすく表示されました。

「SKM 6000のハンドヘルドトランスミッターに不満を覚えたことは一度もありませんでした」とトーマス・ホーファー氏は言います。「MD 9235カプセルは、Sido氏の声と完璧にマッチします。さらにこの送信機とマイクロフォンカプセルは非常に堅牢で、どれだけ激しいパフォーマンスをしても、さらには野外で豪雨にさらされてもまったく問題ありません。また、ステージの前端などの影響を受けやすい場所でパフォーマーが動いても、ハウリングの発生を大幅に抑えられます」

ホーファー氏は、あらゆる点でSennheiser Digital 6000システムのサウンドに感銘を受けたと言います。「アナログ伝送システムでは、コンパンダーによる音の影響に悩まされる場合があります」とホーファー氏は説明します。「一方、デジタル伝送では従来のコンパンダーは不要です。他の機能と組み合わせることで、よりオープンなサウンドイメージが得られます。そして、高品質のシグナルチェーンを通じて即座に聴くことができます」

屋外のドライブインで得られる感動

ホーファー氏は、Sennheiser Digital 6000シリーズの優れたスペクトル効率と卓越した信号安定性を高く評価しています。「ドイツのネットワーク当局(BNetzA)は、財政的な理由から周波数スペクトル(帯域)の切り売りを進めています。これによりイベントに利用できる周波数スペクトル(帯域)は限られて来ています」とホーファー氏は問題を指摘します。「Sido氏の場合、100を超える伝送チャネルを使うような大規模イベントに参加することも少なくありません。そんな時も、Digital 6000システムのおかげでトラブルを回避できています」。通常、マルチチャネルの無線システムを設定するには相互変調の計算が必要で、サウンドエンジニアはシステム計画時にこの相互変調周波数を回避する必要があります。しかし、Sennheiser Digital 6000システムは相互変調を生成しないため、周波数をシンプルな等間隔の格子状に配置できます(周波数の間隔が等しくなります)。これにより、非常に簡単に周波数を計画できるだけでなく、競合他社のシステムと比較しても、定められた周波数ウィンドウ内でより多くの伝送チャネルに対応できます。「Digital 6000システムでは、伝送周波数を空いたスペースに入れるだけで、システム全体が完璧に動作します。ゼンハイザーのデジタル無線システムに深い感銘を覚えています」とホーファー氏は感嘆します。

「楽しんでいる奴はクラクションを鳴らせ!」ポール・ハートムート・ヴュルディヒ(Paul Hartmut Würdig)の本名を持つSido氏は、その機転と創造性で、ドライブインの野外コンサートという従来とは異なる環境を最大限に活かしたライブを繰り広げました。集ったおよそ1,000台の車内から見ている観客たちは、パッシングとクラクションで自分たちの盛り上がりを伝えました。ユニークなこのイベントは2日間にわたって行われ、2時間のショーの間、観客は日々の悩みや心配から解放され、忘れられない思い出を胸に帰路につきました。

文化の創造にはシステムは必要不可欠。切っても切り離せない

ゼンハイザーのプロフェッショナルオーディオチームでリレーションズマネージャーを務めるトーマス・ホルツ(Thomas Holz)は次のように述べています。「Sido氏は長年にわたって2000シリーズのシステムを使用し、大きな成功を収めてきました。Sido氏は当社の革新的なDigital 6000システムを2019年から好んで使っています。ドイツで最も人気のあるラッパーが、ゼンハイザーのこの画期的な無線ソリューションを選んだことを非常に嬉しく思います。本人のリクエストを受けて、Sido氏のハンドヘルドトランスミッターSKM 6000は、最新アルバムのデザインに合わせてゼンハイザーのヴェーデマルク工場で鮮やかな赤色に仕上げています」

従来形式の大規模イベントを開催できない情勢下でも、ファンにライブイベントのスリルを届けることは可能です。ハノーファーコンサートは、『ハノーファーから、ハノーファーのために』をスローガンに、大手スポンサーの支援を受けて、2020年5月7日からライブコンサートのみならずコメディや映画上映など様々なイベントを開催しています。観客は感染予防やソーシャルディスタンスを遵守しながら、車内から快適にショーを見ることができます。いわば動くリビングルームで、リラックスした夕方のひとときを過ごせるのです。「『Autokultur』のイベントは、わずか10日でゼロから立ち上げられました。素晴らしいチームなしには決して達成できなかったでしょう」とハノーファーコンサートの運営企業でマネージングディレクターを務めるニコ・レーガー(Nico Röger)氏は振り返ります。「我々は、このような困難な時代にあってもイベントを開催し、文化とシステムは切っても切れない関係にあることを示していきたいと考えています」

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