ゼンハイザーMobileConnectに最適な舞台――エルンスト・ドイツ・シアター(Ernst Deutsch Theatre)では、音声解説と音響増幅器(アンプ)を利用できる、インクルーシブなストリーミングソリューションを導入しています。
聴覚障害や視覚障害をお持ちの方にも、劇場での文化イベントをバリアフリーに楽しんでいただけるようなソリューションを提供すること。
おすすめしたシステムは、ゼンハイザーのMobileConnectです。MobileConnectは非常に柔軟性が高くインストールも簡単な、Wi-Fiを介した聴覚支援システムです。ユーザーは、直観的な操作で扱えるMobileConnectアプリをインストールするだけ。聴覚障害者の方々にも、Wi-Fiネットワークを通してオーディオストリーミングをライブでも録音でもお楽しみいただけます。
エルンスト・ドイツ・シアターでは、モノフォンDSP(デジタルシグナルプロセッサ)マトリックスで出力された音声信号は、大ホールのコントロールルームに他の19インチ機器とともに設置されたゼンハイザーのConnectStationに送られ、観客はNeumann KH 120 Aニアフィールドスピーカーを介して聴くことができます。ConnectStationは、最大50台のストリーミングクライアントの管理をリアルタイムで行い(遅延時間は約80ミリ秒)、同シアター内で1階平土間席や階上席に無線ネットワークを介して信号を配信している2つのアクセスポイントに接続しています。チャネル数は周波数スキャンによって決定されます。システムの操作に必要なWi-Fiはログインすることなくセットアップでき、追加料金も必要ありません。ゼンハイザーのMobileConnectのインストールと機能テストは、すでに館内にモニタリングシステムがある場合には、2~3時間程度で終了します。システムのアップデートはネットワークを介して行われます。
ゼンハイザーのMobileConnectシステムは、演目によって聴覚支援と音声解説のいずれかまたは両方を提供します。音声解説はスクリーン上での進行状況を音声で説明するもので、失明した方や視覚障害のある観客が話の筋を理解する手助けをします。そのためのコンテンツは、少なくとも1人以上の視覚障害者を含む専門家のチームが、最適な言語表現を探りながら、事前に準備しています。
聴覚支援のためのオーディオ情報は、エルンスト・ドイツ・シアターのホール各所に設置されたゼンハイザー製ショットガンマイクを通して提供されます。ポータルの左右や、劇場内左右の壁面を間近でご覧になれば、マイクが見えるでしょう。階上席の中央には2つの指向性チューブマイクが取り付けられています。劇場にはすでに4つのマイクロフォンがありましたが、MobileConnectをインストールする際にさらに2つのゼンハイザーMKH 8060マイクを追加しました。現在のマイクシステムは、多目的劇場であるエルンスト・ドイツ・シアターで上演されるすべての演目が、上演ごとに特別な調整をすることなく可能な限り高い品質で再現できるように設計されています。スピーチから、複雑なミュージカルの演目に至るまで、舞台上のすべての動きが完璧にキャプチャーされます。効果的に配置されたマイクロフォンのおかげで、観客の反応さえも鮮やかに伝えられ、密閉型ヘッドフォンや補聴支援機器(人口内耳など)を装着した観客も、演目の音響のまん中に没入できるのです。
ゼンハイザーのショットガンマイクロフォンからの出力信号は、プリアンプを搭載したDSPマトリックスで処理され、ひとつのモノラル信号に合成されます。聴覚に障害のあるお客様は、MobileConnectアプリのユーザーインターフェースから個々に最適な設定を選択できるため、マトリックスでは特に音声明瞭度に関係する周波数を強調していません。この設定の選択には、フラウンホーファー研究機構(Fraunhofer Institute)との協働で開発された、直観的操作が可能な「パーソナルヒアリングアシスタント」機能のタッチインターフェースが利用されます。このシステムでは、強力なアルゴリズムにより、邪魔な背景雑音を抑制しながら、ユーザーの聴力や好みに合わせて音声情報をダイナミックに再生します。高コントラストで魅力的なデザインの画面表示なので操作が簡単で、オーディオ技術について詳しくないユーザーでもすぐにお使いいただけます。
劇場を訪れた観客は、サービスデスクで待ち行列に並んだり劇場係員の補助を頼ったりしなくても、最新の流行語にもなったBYOD(bring your own device)、つまり自分のスマートフォンを使って、演目を見ることができます。このシステムがもたらす恩恵でもうひとつわかったことがあります。首元に目立つようにぶら下がっていた磁気誘導ループ(ヒアリングループ)は、時に他の観客から「配慮に欠ける」とみられることもあるものですが、これを使用せずに済むようになったのです。またシアター・オペレーターの見方では、劇場スタッフが機器を手渡す必要がなくなったことで、BYODによってコスト面の効果が得られているとのことです。テクニカルな機器の購入、手入れやメンテナンスは必要ありません。ゼンハイザーのMobileConnectはAndroidとiOSの両方のオペレーティングシステムをサポートしています。エルンスト・ドイツ・シアターの音響技師、アレクサンダー・ベーレンスは、このように報告しています。この新しいシステムなら、日々のオペレーションで追加的な仕事は発生しない、劇場の扉が開いたときにゼンハイザーMobileConnectのスイッチを入れる、ただそれだけでいいのだと。
アーティスティックディレクターのイザベラ・ベールテ=シュッターの指揮のもと、エルンスト・ドイツ・シアターは聴覚支援の問題に熱心に取り組んでおり、何年も前から手話通訳付きの特別な演目が上演されています。聴覚に制限のある人にとって、ペガサス賞を受賞したこの劇場は、ハンブルクで制限なく文化を体験できる最高の場所です。「サブスクリプション(定額制)を更新される際、当劇場で聴覚障害者に特別な配慮がなされていることを重要視されるお客様は珍しくありません」とアレクサンダー・ベーレンスは言います。聴覚面での困難を感じ始めた観客は、内容がよく理解できなくなってしまうために、それ以上劇場に足を運ばなくなってしまいます。これはよくある問題なのです。
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