ブレイク・シェルトン

ナッシュビル、テネシー州

カントリースターのブレイク・シェルトン、ドライブインコンサート上映会に向け撮影

受賞歴のあるカントリーミュージシャン、ブレイク・シェルトンはこのほど、1夜限りのスペシャルコンサート上映会をアメリカ国内300カ所のドライブインシアターで同時開催しました。事前撮影されたフルコンサートでは、6人編成のツアーバンドをしたがえたブレイクのヒット曲のほか、スペシャルゲストのグウェン・ステファニーおよびトレース・アドキンスとの共演も披露されました

「ゼンハイザーのカプセルはすごく気に入っています。ハイファイサウンドなのに、他社のハイファイマイクのようなハウリングが起こらない上、ミックスにうまく馴染みますから」

- ブラッド・ベイズリー、シェルトン担当モニターエンジニア -

本プロジェクトでは、モニターエンジニアのブラッド・ベイズリー(Brad Baisley)と、ドラムのトレーシー・ブルサード(Tracy Broussard)をはじめとするツアーバンドメンバーが、ライブならではのエネルギーを捉えたシームレスな体験を生み出すために尽力しました。実際のライブ用に選んだのが、彼らが最も信頼を置くハイファイ機材であるゼンハイザーのボーカルマイクとインストルメントマイク、Digital 6000ワイヤレステクノロジー。1時間半以上におよぶこのライブでは、シェルトンのビッグヒットの数々に加え、ステファニーおよびアドキンスとの共演も披露することになっていました。ベイズリーにはゼンハイザー・マイクと合わせて信頼のツアー機材を用意し、ライブサウンドに忠実な音を再現するというミッションが課せられました。8年間にわたりシェルトンのモニターエンジニアを務めるベイズリーは次のように語っています。「今回のコンサート上映会を、生のブレイク・シェルトン・コンサートのようにオーディエンスに感じてほしいという狙いが最初からありました。そういう意味でも、ツアー用のいつものゼンハイザー・マイクを使えるのは非常に助かりました。撮影は、PRG(プロダクション・リソース・グループ)とVER(ビデオ・エクイップメント・レンタル)の2社がナッシュビル郊外で共同運営する倉庫スペースを使い、無観客で行いました。大会場でのコンサートの雰囲気を出すために、本物のパイプやカーテンも用意しています。カメラは全部で7台。開演から終演まですべてをワンテイクで撮りました」

何者にも勝るゼンハイザーのサウンドクオリティ

シェルトンとゲストの圧倒的なボーカルパフォーマンスを写し取るために、ベイズリーはゼンハイザーMMD 935カプセルとSKM 6000ハンドヘルドマイクという組み合わせを選択しました。「われわれのコンサートでは誰もがゼンハイザーを使います。ブレイク、グウェン・ステファニー、トレース・アドキンスという3人のボーカリストをステージで輝かせるため、全員にMMD 935カプセルを採用しました。パフォーマーが同じマイクを使うことで、音色的な違いのない環境を生み出すためです」(ベイズリー)

ベイズリーはかねて、MMD 935カプセルをサウンドクオリティの面でもノイズ除去性能という面でも際立った製品として評価してきました。「ゼンハイザーのカプセルはすごく気に入っています。ハイファイサウンドなのに、他社のハイファイマイクのようなハウリングが起こらない上、ミックスにうまく馴染みますから」こうした特性は、シェルトンのチームがゼンハイザーのデジタルワイヤレスシステムを採用して以来、さらに顕著になったそうです。「3年前にDigital 6000に移行したことで、MMD 935カプセルのサウンドを新たなレベルに引き上げることができました」

ゴールの妨げになるような機材はいらない。必要なのはいつでも、どんなときでも満足できる機材。

ベイズリーにとって、卓越のサウンドクオリティとフレキシブルかつ安定したRFもDigital 6000シリーズの大きな強みです。「エンターテインメントの観点から言うと、ゴールの妨げになるような機材はいりません。必要なのはいつでも、どんなときでも満足できる機材。Digital 6000はまさにそれです。今日のようなスペクトラム環境では、RFの制御が特に難しいときにもデジタルシステムで対応できるので本当に助かります」

カントリーらしいモダンなドラムサウンドを作り上げるのも、ベイズリーとドラマーのトレーシー・ブルサードの課題でした。どんな環境でも求める音を実現するべく、2人はゼンハイザーとノイマンのマイクを何種類か選択。バスドラムの内側にゼンハイザーe901を、外側にe602をそれぞれ立て、ベイズリーが求める深みと柔軟性を得ることにしました。「ゲートとコンプレッサーも設置し、e901はバスドラム専用に、e602はそれ以外の音に使いました。この方法なら、必要に応じてモニター別に違う音を容易に振り分けられます」とベイズリーは説明しています。ブルサードは、どのバスドラムにもマイクが対処してくれる点が特に気に入ったといいます。「どのドラムキットを選んでも、e901とe602が素晴らしいサウンドを聴かせてくれる」と語るブルサードのお気に入りは、ミディアムピッチのスネアドラムをしっかりミュートしてピッチをさらに下げ、必要に応じてよりファットな音を作るというアプローチです。ベイズリーはスネアの上にゼンハイザーのヴィンテージe905を、下にe604をそれぞれ立てることで、すべての音と細部を捉え、ブルサードのモニターミックスに生かすことにしました。「下に立てたe904はアタックとシズルを、上に立てたe905はドラムのボディをそれぞれ捉える仕組み」により、シェルトンの音楽にふさわしいモダンなサウンドでありながら、ブルサード好みのタッチに仕上げているといいます。「モダンでポップなカントリーには、ファットなスネアドラムが合う。ゼンハイザーのマイクなら、ファットな音も、プレイ中のゴーストノートもすべてきちんと再現してくれる」(ブルサード)

さらに別のe904でタムタムを、e902でフロアタムの深みのある低音を捉えます。「フロアタム用のe902は特に素晴らしい」と語るのはブルサードです。これに呼応するようにベイズリーも次のように評しています。「もちろん、バスドラムでも素晴らしい音が得られますが、この手のマイクはフロアタムに使うとすごく良いんです。フロアタムらしい、本当にビッグなボトムと、クリアなアタックが得られます」シンバルについては、ノイマンKM 185コンデンサーマイクロホンを2本使用。「モニターミックスで楽器隊にシンバルの音をきちんと届けるには、シンバルの明瞭度が極めて重要です。今回はシンバルの下にKM 185を2本立て、スーパーカーディオイドの極性パターンを生かして、他のドラムパーツの音をカットしています」とベイズリーは解説します。ブルサードも、入念に選び抜いたシンバルのトーンレンジを100%効果的に捉えてくれるKM 185に満足しているそうで、「シンバルの音をダイレクトに伝えてくれる」と評価しています。

シンバルの明瞭度は、ハイハットとライドにそれぞれe914を立てることでさらに向上。ブルサードは次のように語っています。「ハイハットとライドのトーンを100%引き出す上で非常に重要なマイクだ。私のライドは、叩く位置を変えることでまったく異なるトーンが得られる。e914は、エッジ付近を叩いたときの柔らかいサウンドから、中心を叩いたときの鐘のような音色まで、すべてのトーンを再現してくれるんだ。必要に応じてハイハットを目立たせることができるのもありがたいね」

110日ぶりのコンサート

ゼンハイザーのマイクは、ステージの至る場所で活躍します。「e906はまさに万能です。3ポジションのロールオフが可能なので、ギターアンプに最適なサウンドがいつでも見つかりますし、レスリースピーカーに使って、ローエンド用のe602と組み合わせる方法もあります」とベイズリーは語ります。ただしペダルスチールギターに関しては、より古典的なマイキングが望ましいといいます。「ペダルスチールギターのアンプマイクとしてはMD 421-IIがベストですね。ピアノ並みにレンジが広い楽器なので、421ならではのフルスペクトラムレスポンスがとても具合が良いんです。もちろん、ベースアンプにももってこいです」

すべてを2週間でまとめ上げなければならないスケジュールのなか、ベイズリーはチームのパフォーマンスに感銘を受けたといいます。「ブレイクとバンドが110日間ぶりのショーのためにできたリハーサルは1回きりでした。でもリハが始まるとすぐにまとまりが出てきました。使い慣れたゼンハイザー・マイクで、いつもの音にみんなが戻ってこられたことで、最高のパフォーマンスができたのだと思います」ブルサードは、マイクのおかげでステージ上のパフォーマンスとの絆を実感する一方、オフステージでのゼンハイザーとの絆にも感謝しているといいます。「ゼンハイザーのスタッフたちと知り合えて良かったし、製品サポートも素晴らしかったよ」

ブルサードは、ライブならではの興奮をブレイク・シェルトンのファンと再び共有できた喜びにも触れました。「パフォーマーなら、観客が1人だろうと6万人だろうと、同じショーを見せる術を学ぶ必要がある。ブラッド(・ベイズリー)とゼンハイザー・マイクのおかげで、自信をもって安心してステージに立ち、コンサート上映用に最高のプレイができたと思う」

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