オーディティヴ・オーディオヴィスアイスLDA

シントラ、ポルトガル

世界的巨大イベントのオーディオブロードキャスティング(音声放送)の専門家たち

世界中のオーディエンスを対象とした放送イベントの計画? それがオリンピックでも、TV番組でも、ユーロビジョン・ソング・コンテスト(Eurovision Song Contest)でも変わることなく、世界最大のショーに世界最高のサウンドを届けてくれるポルトガルの企業オーディティヴ・オーディオヴィスアイス(Auditiv Audiovisuais)は、ゼンハイザーの最高のパートナーです。

「ゼンハイザーを選んだのは、僕はこの仕事を始めて以来、彼らと共に歩んできたし、昔からずっと、ゼンハイザー製品の高い性能を心から愛しているからです」

- ダニエル・ベカーマン、マネージング・パートナー、オーディティヴ・オーディオヴィスアイス -

「僕は昔からずっとシステムが好きでした。この頭の中にシステムが見えるほどに。だから僕の場合、ショーの様子を前もって頭に思い描くのは、簡単なことなんです」とダニエル・ベカーマン(Daniel Bekerman)氏は、自身の才能についての質問に答える。ただ、それだけではないと、氏は言い添えます。「でももちろん、創造性も駆使する必要がある。迅速かつ適切な解決法を見つけるには、それが欠かせません」

  • Customer オーディティヴ・オーディオヴィスアイスLDA
  • Website https://www.auditiv.com/
  • Country ポルトガル

ユーロビジョン・ソング・コンテストを手がけるのは夢でした

オーディティヴ・オーディオヴィスアイスのふたり、ダニエル氏とパートナーのジョアン・エスカーダ(João Escada)氏は、世界中の巨大イベントの数々で音響コンサルタントを務め、高い国際的評価を手にしました。オーディティヴ・オーディオヴィスアイスは数々の高いスキルを有し、それでもなお、常に準備を怠らない企業です。同社はポルトガルのさまざまなTV番組に携わり、以来、TVの経験を積み重ねてきました。

「準備は徹底的にしますね。チャンスは一度しかないからですし、それは観衆が400人でも4万人でも変わりません」とベカーマン氏は言います。多くの大イベント制作陣がベカーマン氏率いるオーディティヴ・オーディオヴィスアイスを信頼し、その手にすべてを託す理由は、彼らのそんなホリスティックな姿勢にあります。専門は音響ではあるけれど、細かな部品群の繊細かつ丁寧な扱いが求められる元腕時計職人だけに、照明からカメラワーク、舞台装置に至るまで、番組/ショーを構成するすべての要素を、今も昔もこよなく愛するベカーマン氏。自身が携わる全イベントを心から大切にしており、だからこそ、どのイベントも成功に導くために、求められるあらゆる仕事の一つひとつに全力を尽くすのだと、氏は言います。

「僕らは常に機材と知識の向上に努めています」とベカーマン氏。そして、莫大な時間を要する自身の仕事と家族とのより良いバランスを見つけねばならなくなったことも、そのきっかけのひとつだったそうです。「いまでは、物事をより多くの視点から見られるようになりました」。番組/ショーの単独でのミキシングを止めたことも、その一環だそうです。ひとつのイベントにおいて自身が担う責任はミキシングだけに従事するのではなく、全チームが各々の仕事に集中できるように取り計らうことだと気づいたと、ベカーマン氏は言います。だからこそ、その番組/ショーのどこかが助けを求めていれば、「消防士」のように駆けつけるのだと。

オーディティヴ・オーディオヴィスアイスが成功のひとつの頂を極めたのは、2018年、ポルトガルはリスボンで開催されたユーロビジョン・ソング・コンテストでのことでした。「ユーロビジョン・ソング・コンテストを手がけるのはひとつの夢でしたし、まさかできるとは思っていませんでした」。それ以降、不可能なことは何もないと気づいたと、氏は言います。その世界最大のライブ音楽イベントを成功させるために、オーディティヴ・オーディオヴィスアイスはゼンハイザーおよび同国の販売業者マグネルサ(Magnelusa)と提携しました。ベカーマン氏いわく、「ゼンハイザーを選んだのは、僕はこの仕事を始めて以来、彼らと共に歩んできたし、昔からずっと、ゼンハイザー製品の高い性能を心から愛しているからです」。Digital 6000を82チャンネル利用する音楽の祭典、ユーロビジョン・ソング・コンテストは常に限界を超越する一大イベントであり、オーディティヴ・オーディオヴィスアイスのチームは数百台ものトランスミッター(SK 6000×74台、SKM 6000×68台、L 6000×21台)を同時に扱うだけでなく、ゼンハイザーEK 2000 IEMのレシーバー112台と34のインイヤーモニタリングチャンネルも駆使しました。

「番組/ショーの影響力は毎回変わるかもしれない、でも僕らが負う責任は常に同じです」とベカーマン氏。「与えられた予算内で最高の品質を提供しなければなりませんし、それはユーロビジョン・ソング・コンテストでも、『ゴット・タレント・スペイン(Got Talent Spain)』でも変わりません」

2020年3月、たった一日で27件のキャンセルと延期が出た

自分にとって、音楽は私生活でも中心を占める存在だと、ベカーマン氏は言います。「音楽とサウンドが昔からずっと好きなんですよ」。そして、それを楽しめる機会は、ひとつとして無駄にしないそうです――オフィスでも、車内でも、一日中自宅にいても。ジャンルを問わずに聞くけれど、なかでも交響曲は、複雑な構成が特に好きだそうです。そしてオーディティヴ・オーディオヴィスアイスでは、マネージング・パートナーとして、その持てる全知識を周囲に伝えるのだと、氏は言います。2004年に数カ月アンゴラに滞在した際には、2002年の内戦終結以来、同国では初となるTV局の設立に尽力したそうです。ベカーマン氏の使命は、適切な放送に欠かせない完璧なワークフローをサウンドエンジニアおよび提供者に教えること、そして、技術的要素および一般的な周波数帯域調整に関する助言を与えることでした。停電が頻繁に起き、ひとたびそうなると、スタッフが何時間も身動きを取れなくなる状況のなか、その使命達成は大きな挑戦だったと言います。ですが、氏のたゆまぬ努力は大輪の花を咲かせ、多くの人々がアンゴラで同局の番組を見るようになりました。そうした数々の貴重な経験をしてきたけれど、半生をふり返り、自分は幸運だっただけだと言うベカーマン氏。38年間に及ぶキャリアでさまざまなことを学んできたいまは、若い頃に比べてはるかに落ち着き、肩の力が大いに抜けているそうです。ベカーマン氏いわく、「人生はときに受け入れ、ときに断るしかない数々の機会の積み重ねです。そして、自分がうまくやれたかどうかは、後になってみなければわかりません」

業界の大半と同じく、オーディティヴ・オーディオヴィスアイスもコロナ禍で大きな痛手を受けました。「2020年3月、たった一日で27件のキャンセルと延期が出ましてね」と、熟練の技術者ベカーマン氏はふり返ります。ほぼすべてのTV番組が放送日程の組み直しを余儀なくされ、ミュージシャンが出る番組はすべてキャンセルされたそうです。「未来のことはわからない」。これが、コロナ禍に何らかの形で影響を受けた今後のプロジェクトに関する質問に対する、ベカーマン氏の答えでした。ただ同時に、氏は楽観的でもあります。2021年7月には、オリンピックの仕事で東京に向かうことになっており、最新の予定表を最近受け取ったそうです。その広範な経験に基づき、音響コンサルタントとして、巨大イベントの現場を担うエンジニアたちに力を貸すことになるベカーマン氏。そんな氏のかたわらには常に、氏の脳内と世界中のステージ上の双方に優れたショー/番組を届けるために欠かせない、卓抜な創造性と想像力があるのです。

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