没入型オーディオアンビエンスの録音と作成が行える自由度の高いソリューション、それがビデオゲームのための AMBEO です。複雑なアンビエント環境の録音はゼンハイザー AMBEO VR Mic を使って簡単にできるので、作り手はたった 1 本のマイクロフォンでその場所の本当のサウンドを収録できます。ゼンハイザー AMBEO VR Mic による録音をベースとして、そこにスポットマイクからの信号や他のサウンド効果を加えることで、複雑で柔軟性に富んだバックグラウンドベッドを、コンシューマーゲーム、コンピューター用ゲーム、VR / AR 用ゲームのために作成でき、個別にレンダリングしたスポット音源よりも計算リソースの使用を減らします。以下に挙げますテクニックは、ゲームのプレイヤーの操作などで変わることがない音楽、アンビエントサウンドや他の背景音といったものに最も効果があります。
収録
1つの小型マイクロフォンだけでも、アンビソニックスの原理を利用することで、一点から 360 度完璧な球状に空間の音声をとらえられます。要するにもしその場にいたら聞こえるであろう音を正確に収録するのです。この技術を使えば、レースカーの車内をはじめとする独特な音響環境など、再現が難しい音の風景を収録できます。
簡単そうに聞こえますが、位置とレベルに関してアンビソニックス信号を正しく記録されるよう注意しなければなりません。エラーの中にはポストプロダクションにて修正できないものもあるのです。field recorderにAMBEO VR Mic モードが搭載されていれば、この作業が格段に楽になります。
現場では、AMBEO VR Mic をワイヤレスラベリアマイクなど通常のマイクロフォンと組み合わせて使うことが多くなるでしょう。 そうすればポストプロダクションの自由度が高まり、ミキシングエンジニアがアンビエントミックスを調整できる幅が広がります。
ミキシング
DAW とツールチェーン
アンビソニックスベッドのミキシングはマルチチャンネルトラック(具体的には 1 トラックに 4 チャンネル以上)に対応しているたいていの標準的 DAW (Digital Audio Workstation) で行えます。ミキシングプロセスで使うときにはアンビソニックスツールチェーンを選択してください。選択できるツールは、DearReality の dearVR ツールチェーンや無料の Facebook 空間音声ワークステションなどたくさんあります。
推奨されるミキシングパラダイム
記録されたアンビソニックス信号をベースのアンビエンスとして使い、そこにワイヤレスマイクなど従来のマイクからの信号やフォーリー音を加えることで、強調された最終のアンビエントミックスを作り上げられます。
フォーマットの変換
すべてのアンビソニックスツールチェーンの動作フォーマットは B-フォーマットなので、まずは dearVR AMBI MICRO を使ってAMBEO VR Mic 信号をB-フォーマットに変換する必要があります。
空間化
通常のマイクロフォンがひろった追加音源は意図した位置から音が聞こえ、映像やアンビエンスに合うように空間化する必要があります。このステップは選択したアンビソニックスツールチェーンが行います。
モニタリング
ミキシングにおいてアンビソニックスミックスのモニタリングは大切です。とはいえそれを聞くためにはアンビソニックスをデコードしなければなりません。このステップはコンシューマーゲーム、コンピューターゲーム、VR/AR ゲームのいずれにデプロイするかによって変わってきます。 VR / AR ゲームにデプロイする場合はバイノーラルレンダラーを使ってミックスをデコードしてください(一番良いのは、最終的にゲームの完成版に組み込まれるレンダラーを使うことです) 。従来型のゲームにステレオないし 5.1 でデプロイする場合は、アンビソニックス信号をラウドスピーカーにデコードしなくてはなりません。様々なラウドスピーカー配置へ信号をデコードする際は、ゼンハイザーのパートナーである HARPEX X を使うことをお勧めします。
アンビソニックスで作業を行う際の注意点
アンビソニックスは音場を記述したものですので、アンビソニックス信号の構成トラックそのものに決して手を加えないでください。アンビソニックス信号を修正したいときは、必ずアンビソニックスのミキシングツールとエディティングツールを使ってください。標準的なマルチチャンネルミキシングツールを使って変更を行う際は、必ず 4 つチャンネルすべてに平等に変更を適用しなければなりません。そうしないと、アンビソニックス信号の空間イメージを変えるおそれがあります。
プレイ
コンソール、コンピューターゲーム
アンビソニックスはモノラルから 5.1、7.1、それ以外の任意のスピーカー配置まで様々な再生環境を合わせてデコード可能な汎用性の高いフォーマットです。直接アプリでラウドスピーカー向けにデコードできるゲームエンジン用プラグインも一部ありますが、5.1やそれ以外の伝送したいスピーカー配置に向けてアンビソニクスミックスをプレレンダリングしても、同じ結果が得られます。信号の処理には HARPEX Xを使うことをお勧めします。信号がデコードされたら、サラウンドサウンド音声ファイルにするのと同じように、ミドルウェアかゲームエンジンへ取り込んでください。
VR/AR ゲーム
たいていのゲーム用オーディオミドルウェアやゲームエンジンは最初からアンビソニックスのバイノーラルデコーディングに対応しています。使おうと考えているゲーム用オーディオツールの説明書をご覧いただき、そのツールがどのフォーマットに対応し、アンビソニックスへの対応がどういう仕組みなのか確認してください。アンビエントベッド内の音源はすべてアンビソニックス信号に「プリベーク(事前変換)」されているので、たくさんの音源を個別にレンダリングする代わりに、 1 つのアンビエントベッドを一括レンダリングすることで計算リソースを大幅に節約することができます。
ゼンハイザー AMBEO x Codemasters
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